今季好調の要因となっているのは…
7月27日(日本時間28日)のデトロイト・タイガース戦で2打席連発の37&38号ホームランを放つなど、大活躍を続けるロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。スポーツニュースにとどまらず連日、ワイドショーなどでも注目を集めているが、専門家は前半戦の好調ぶりをどう見ているのか。また、8月1日(日本時間2日)に迫るトレード期限を前に注目が集まる移籍情報の行方は? レッドソックスなどで活躍したメジャーリーグ解説者・岡島秀樹氏に聞いた。〈全2回の#1/#2を読む〉
前半戦での大活躍について、岡島氏は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場したことが大きいと語る。
「例年より早く調整をスタートした結果、開幕直後の4月、5月に結果が残せました。スタートダッシュに成功して、そのままの状態を維持できているのだと思います」
まず、「投手・大谷」の今シーズンの変化についてはこう分析する。
「昨年の夏以降、指先にマメができながら、ボールの握り方を変えるなどして対応してきました。ツーシーム系の球種を増やしたり、スイーパーという横滑りするスライダー系のボールを投げるようになり、なかでもスイーパーを効果的に使っている印象です」
大谷について解説する岡島秀樹氏 ©︎Yuki Suenaga
今や大谷を語るときの代名詞ともなっているスイーパーだが、昨シーズンのうちから試合の中で修正を繰り返し、実戦で使える球種へと磨きをかけてきた。
「WBCの決勝戦、最後に(マイク・)トラウト選手を三振に取ったボールがスイーパーです。おそらく、あのボールをレギュラーシーズンでも投げたい。多くの三振を取りたいという思いで現在もマウンドに上がっていると思いますし、実際に三振も多く取れています」
今季好調の要因となっているのは…
「投手・大谷」の唯一の不安材料とは? ©︎Nanae Suzuki
5月頃になりスイーパーが狙い撃ちされる場面もあったが、それには原因があったと振り返る。
「スイーパーというのは横に滑りながら落ちるボールなので、若干、肘を下げなければいけません。ただ、そのせいで大谷投手のフォームを観察した相手チームが、肘の位置で球種を絞ってくるようになりました。そのために配球を読まれ、ヒットにされる場面も増えていました。ただし、対策を取られていることにいち早く気づいた大谷投手は、フォーシーム(ストレート)を投げる際にもあえて肘を下げ、相手打者にわからないよう工夫していました。すぐに対策を立て、実行できるところはさすがだなと思います」